この数年、低迷する経済状況で苦戦する日本を尻目に、天然資源の宝庫・カナダは、順調に経済の伸びを続けてきました。

原油やガス・石炭といった燃料とされる資源や、世界1位のシェアを誇るウラン鉱を始めとする金属資源やダイヤモンドに至るまで、カナダの豊富な鉱物資源に対する中国やインドのといった新興工業経済地域とされる国々からの需要の増加が、その良好な経済状況を支えてきました。

貿易大国カナダの最大の輸出先は隣国アメリカですが、その広大な国土の西部・ブリティッシュコロンビア州とアルバータ州の好景気は、アジア地域の発展と需要に呼応している部分が少なくありません。

アジアからの玄関口とされるブリティッシュコロンビア州最大の都市・バンクーバーでは、2010年に冬季オリンピックが開催されました。

その前後から、経済的に急激に豊かになった中国本土からの移民と、彼等が使い道に困るほどの大量の財産が流れ込み、投資先として選ばれたバンクーバーの不動産マーケットは、天井知らずの状態が続いています。

その結果バンクーバーは、世界のランキングものの常連として「最も住みやすい都市」と「最も不動産が買いにくい都市」の両方に登場する不思議な都市となっています。

不動産価格の上昇に伴い様々な物価が上がり、その経済状況は、良好を通り越してバブルの危険が近づいているのではないか?という専門家の意見を聞かない日はない状態です。

そしてそのお隣アルバータ州こそが、資源の需要拡大で最も潤う地域です。

鉱物資源関連産業の発展に伴い、作業人員の雇用拡大、住宅建築ラッシュ、周辺のサービス産業とその労働人口の増加といった具合に、経済的な恩恵は次々と広がっていきました。

「カナダで仕事を探すなら、とりあえずアルバータに行け」と言われ、オイル関連企業では技術者の争奪戦が勃発し、一時はチェーンのコーヒーショップやファストフード店に至るまでが深刻な人材不足に陥るほどの好景気ぶりでしたが、一段落して落ち着きを取り戻したようになった最近になり、予想外の原油価格の下落が起こります。

資源の市場価格が為替相場にも影響し、自国の通貨価値と資源の価格の両者と密接に関連するアルバータ州の経済状況は、一気に不安定な状態になってきています。

旅行や一時的な滞在で触れることができるのは、カナダのほんの一部にすぎませんが、コーヒー代一つからもその微妙な経済状況の変化を感じ取ることができます。